寝る向きが頭を北に・足を南に向ける「北枕」では、縁起が悪いなどという話を耳にすることがありますね。
ですが、北枕にしてから「熟睡できるようになった」「スッと寝つけた」という声も多く見られるのも事実。
実際、風水の世界などでは北枕は「もっとも安眠できる方角」として位置づけられている上、北枕で寝ることを勧めてもいます。
では、北枕で寝ると安眠できるのは何故なのでしょうか? その理由を3つご紹介します。
目次
「北枕がよくない」といわれる理由とは
日本人の間では昔から「北枕はよくない」とされています。
その理由は、仏教の祖である釈迦の入滅に由来する「頭北面西・右脇臥(ずほくめんさい・うきょうが)」から来ている考え方が元になっているからといわれています。
これは、釈迦が入滅に際しての身体の向きといわれるものです。「頭を北に、顔を西」に向けて右わきを下にして横になっていたといわれ、それ以後は亡くなった人の極楽往生を願って頭を北に向けて寝かせたことが発端とされています。
そのため北枕は仏教の世界において「死者を連想させる」と認識されるようになり、仏教人口の多い日本では生きている人が亡くなった人と同じ寝方をすることをはばかって、「北枕=縁起が悪い」といわれ避けられるようになったというわけです。
ですが、ご存じのとおり仏教は日本以外にも普及している宗教ですね。日本以外では北枕はよくないという考え方はされていないのです。
つまり仏教的には無関係なこの考え方は「日本独自の迷信」といわれることもあるので、神経質になりすぎる必要はないのではないでしょうか。
安眠効果のある「北枕」がよい理由
釈迦の故事にちなんで日本では縁起が悪いとされる北枕ですが、実際のところ快眠とどのような関係があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
「頭寒足熱」にかなった向きのため安眠できる
風水では、頭寒足熱の理にかなった「運気の上がる寝方」とされています。
頭寒足熱とは、健康法でよくいわれる「頭を冷やして足元を温める」ことですね。
北半球に位置する日本では、太陽が南から差し込むことによって室内は北側より南側のほうが温かくなります。
そのため、北枕にすると自然と足元が温められる状態が頭寒足熱にかなっていて、安眠できるというわけです。
「地磁気」に沿った向きなので安眠できる
地球の磁力線は南のS極から北のN極へ向かって流れていますが、このことが安眠に関わりがあるともいわれています。
南から北への流れは地球の自然の流れであり、科学的にみると頭を北に向けて寝る北枕はこの磁気の流れに沿う姿勢となります。
そのため地磁気が南に向けている足から北向きの頭へ向かって流れるようになり、血行がよくなって寝ている間に効率よく疲れが取れる安眠につながるといわれているのです。
どうしても疲れが取れない時や昼寝の時など、北枕は疲労回復にとても有効といわれているので試してみる価値はありそうですね。
風水の世界でも「安眠できる寝方」として勧めている
冒頭でも触れましたが、風水では北枕は安眠できる方角といわれています。
これは、「体内に気を取り入れるのに効率がよい」との考え方や「寝ている間に運が浄化・再生される」という考え方に基づいています。
風水では気の流れが「北から南へ」流れていくとされています。
つまり頭から足に向かって気の流れが起こることになり、全身の気や血液の循環がよくなって安眠につながるとされているのです。
なお、風水的に北枕は運気が上がるともいわれているようです。
北枕で眠ると気の流れがよくなって健康になり、穏やかな性格になって円滑な人間関係を築けるようになるのが期待できるとか。
人間関係がよくなると仕事もスムーズに行くようになって、金運も上がるといわれています。となれば、よいこと尽くしの北枕を避ける理由がなくなりそうですね。
このように北枕で寝たからと、体調が悪くなったり病気になったりすることはありません。むしろ寝つきが悪くて浅い眠りが続いていたという人が、ぐっすり眠れるようになったなどの話は珍しくないのです。
「昔からよく言われてきたことだから」と迷信に左右されず、北枕のよい面を積極的に取り入れて安眠のサポートにしてくださいね。